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口臭の原因と予防法
ほとんどの口臭の原因は口の中にあります。
磨き残しによる歯垢の蓄積、歯周病の進行により口腔内の細菌数が増え、細菌が、匂いの物質を産生し臭いが強くなることはよく知られています。
それとは別の原因もあります。
口腔内の細菌や舌苔によるもの
口の粘膜は皮膚の垢(あか)と同じように、細胞が剥がれ落ちて、舌に白く溜まり腐敗します。これが舌(ぜっ)苔(たい)です。舌苔は最大の口臭源でかなりの割合をしめます。4週間流動食だけ食べた人の舌苔は、舌全体に厚く溜まっていることがおおいです。つまり、食事を歯できちんとかまなければ舌苔が増え口臭の原因になるのです。食べ物は歯を汚す一方で、「かむこと」で舌をキレイにします。
口臭の主な原因は揮発性硫黄化合物(硫化水素やメチルメルカプタン)です。歯周病原菌は、硫化水素より悪臭の強いメチルメルカプタンを大量に産生します。ですから、歯周病は強烈な口臭があり、まわりの人から嫌がられます、予防しないといけません。
口臭は社会的なエチケット
OL を対象に「上司のみだしなみで最も気になる事」を調べたところ、9割以上が「口臭・体臭」を一番にあげました。
(ヤンセンファーマ社調査、2006年)
つまり、半年毎に歯科健診し口臭予防に心がけることは、現代社会で必要なエチケットなのです。
食物や病気による口臭
一方、ニンニクなどの食物を食べると、アリル化合物あるいはセレニウム化合物などのガスが腸を介して肺から排出され、口臭の原因になります。同様に、肝臓病などでも、臭い物質が肺から出てくることもあります。健康な人でも、肺から出てくるガスは100種類以上あります。しかし非常に低濃度なので、口臭の原因にはなりません。
さらに、腸内に溜まったガスも血中に吸収されるものが多いようですが、多くは肝臓で分解されます。肺から出てきますが、健康な人では口臭の原因とはなりません。
よく胃が悪いと口臭が出ると言いますが頻度は少ないです。時々、胃食道逆流症(逆流性食道炎)など、いくつかの消化器疾患では口臭が出ることがあります。一方、鼻の病気の臭いを口臭と勘違いする場合があります。鼻づまりなどがあれば、耳鼻科受診を考えてください。また扁桃腺炎があると、まれに口臭の原因になることがあります。ただ、扁桃腺炎があれば、必ず口臭が出るとは限りません。
口臭は身体に害は無いのでしょうか?
口臭物質の毒性
口臭の原因物質である硫化水素は、温泉や火山そして下水などで発生し、濃度が大きければ時々死亡事故が起きます。普通の口臭濃度である 0.3ppm でも気分が悪くなるといわれています。ただし、吸い込む空気に薄められますので、口臭で気分が悪くなることはまれです。
このような毒ガスですので口臭は体に害があります。口臭は歯ぐきを溶かす作用があり、明らかに歯周病の原因となります。癌の原因である活性酸素を増やしたり、細胞核の DNA を切断することも分かってきました。
たとえ微量だとしても、このような毒ガスが口の中に存在することは好ましいことではありません。口の中の細菌数を減らせば口臭は減ります。細菌数が多いことも体にはよくありません。半年に一回、歯科医院を定期受診して口臭予防に心がけましょう。